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透析脳症とは1970年代に腎不全の治療として人工透析を受けた患者で発生した疾患です。透析脳症はアルツハイマー病とはその病状及び病理プロセスにおいて異なる疾患です。
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透析治療は体外の人工腎臓を使い、体内の大動脈から血液を人工腎臓へ送り、処理した血液を静脈へ帰す治療法です。人工腎臓では半透膜の片側を血液、別の側を透析流体にすることにより、血液内の代謝性老廃物をこの半透膜を通じて体外へ出しますが、これは小さな分子が高濃度の側から低濃度の方へ半透膜を通過する浸透作用を利用するものです。
水道水が透析液として使われた時代がありました。水道水はアルミニウムを含むので、水道水中アルミニウムは半透膜を通して血液中に入り、血液中の濃度を増加させました。血液中の高濃度アルミニウムは腎不全による排泄機能の欠如と併せ、脳中に高濃度に侵入する結果となりました。健康な人の場合は血中アルミニウムの顕著な増加はなく、脳内への侵入はあったとしても無視できるレベルです。しかし、これらの透析患者においては、アルミニウムを含む透析液による血中アルミニウムの増加、及び腎不全のためアルミニウムの排泄ができないことから脳中アルミニウムの顕著な増加をもたらす結果となりました。
アルミニウムは他の金属(例えばPb,Mg)と同様、脳細胞に対して毒性があります。脳中に高濃度のアルミニウムが侵入した透析患者は、急速に言語障害、異常行動、認識及び精神障害、また突然の発作を生じました。この症候群を透析脳症といいます。
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透析脳症とアルツハイマー病では症状が異なり、脳の病理プロセスも異なります。特にアルツハイマー病の特徴である老人斑と神経原線維変化は透析脳症患者にはみられません。(表参照)
このような両者の違いから透析脳症はアルツハイマー病とは異なる疾患です。
アルツハイマー病とアルミニウム脳症の相違
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アルツハイマー病
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アルミニウム脳症(透析脳症)
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血液中アルミニウム
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増加なし
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増加
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脳脊髄液中アルミニウム
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増加なし
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増加
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毛髪中アルミニウム
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増加なし
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増加
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脳中アルミニウム
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増加なし(年齢相応)
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通常は高度に増加
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神経原線維変化
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ねじれ細管
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なし
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認知症状
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高 度
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軽度〜中高度
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けいれん
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ほとんどなし
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常にあり
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現在では医師の適切な透析液管理により透析脳症は発生していません。
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