デザイナーの和田恵美可さんは、糸と布、そしてあらゆる素材を組み合わせ、刺繍で形づくるアクセサリーを制作しています。
淡いパステルカラーのブローチやイヤリングはどれも美しく、思わず手に取って試してみたくなるものばかり。この繊細なアクセサリーにアルミ箔が使われています。
2012年に和田さんは「やわらかく 強く みずみずしく」がコンセプトのアクセサリーブランド「ミズイロトシロ」を立ち上げました。
作品は、新聞や女性ファッション誌で紹介されたり、百貨店の企画展によばれたりと、おしゃれ感度の高い人たちの注目を集めています。
子どもの頃からアルミ箔が好きだったと言う和田さんは、アルミ箔で包まれたお菓子にちょっと特別な気分になったり、無機質できらっとしているアルミ箔に不思議な気持ちになっていたとか。
美術大学でのオブジェ制作がきっかけで、アルミ箔を使うように。素材に向き合い、手で触り、質感や形、色見など、さまざまな視点からよく観察して、作りたいものに一番よい使い方を考えて作品にする。そのスタイルは、現在も変わらず、形を自由に変えやすいのでアルミ箔を扱うのがとても楽しいそうです。
和田さんにとってのアルミ箔は、「表情豊かで、やわらかさと強さを兼ね備えた柔軟性があって、ブランドのコンセプトにぴったりな素材。アクセサリーは見た目を楽しむものなのでアルミ箔から感じる雰囲気を大切にして、デザインしています。」
作品が刺繍のアクセサリーなので糸と布がメインですが、アルミ箔を入れることにより糸と布の柔らかさが際立ち、逆を言えば糸と布にアルミ箔が入るとアルミ箔の強さ、きらめきが際立ちます。アルミ箔を使う場合は、お互いの対比の美しさを出したいと考えてデザインしているそうです。
一見すると、ちょうちょのようなブローチは、コンパクトを開いた瞬間をイメージしてデザインしたものです。 コンパクトを開くときのトキメキをキラキラ光るアルミ箔の花で表現しています。一つ一つアルミ箔を手でカットしているので全てが違う形です。アルミ箔を透け感のあるシルクオーガンジーで挟み、その上に刺繍を施しているので、平面でありながら奥行きのあるアクセサリーに。
甘過ぎないリボンをイメージし、幾何形態を組み合わせてデザインしたブローチ。左右にそれぞれ広がった部分で、きらめいているのがアルミ箔! 四角くカットしたアルミ箔が、華やかさと強さを添えています。
コロンとした、たまごの形のイヤリング。細かくカットしたアルミ箔をシルクオーガンジーで包み、ラメ糸で手刺繍をしています。たまごの中でアルミ箔がさらさら動きます。
大きさの異なる楕円が連なったネックレスです。ピンク、オレンジ、ブラウンのラメ糸で刺繍しています。ゴールドの糸で刺繍した粒がアクセントに。それぞれの楕円の中にアルミ箔が!
淡いピンクとブルーの糸の刺繍でできた、透け感のある鱗のようなブローチ。中央のアルミ箔の輝きが、やわらかさを引き締めています。
どの作品も、和田さんの手仕事で丁寧に作られています。アルミ箔は、きれいなアクセサリーにすっかり変身していて、ひと目ではアルミ箔が使われているとは気づきません。今後もアルミ箔が和田さんの手によって、どのように変身するのか期待がふくらみます。