カラーアルミ建材の軒天ばく露試験
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カラーアルミ建材の軒天ばく露試験
1.はじめに
カラーアルミの耐候性試験は通常南面でのばく露試験が多く採用されています。カラーアルミの場合は屋根などに使用される 場合は特に目立った腐食は発生せず、チョーキングで塗膜が消滅しても素地のアルミの耐食性が良好なため、問題なく使用で きている場合が多いです。
しかし、軒天部のように雨による自浄作用のない部位では加工部での腐食が問題になることがあります。軒天部の耐食性改善を 目的に模擬家屋を作成し、軒天ばく露試験を実施した結果を報告します。
2.実験方法
1 供試材の種類
供試材は表1に示すようにカラーア ルミとカラー鋼板を用いました。プライマーは防錆顔料有無の影響を、トップコートは種々の樹脂系を用いました。供試材は図1に示すような曲げ加工を施し、平面部にはスクラッチを入れました。
2 軒天暴露試験
図2に示すように(財)日本ウェザリン グテストセンター銚子ばく露試験場に設置した軒天ばく露架台の軒天部(東西南北面)と壁面及び南面の屋根面に供試材を取り付けてばく露試験を行いました。
3 試験期間
試験は1994年6月より9年間実施しました。


表1 供試材の仕様
NO | 種類 | 材質 | 板厚 | プライマー | トップコート | 下地処理 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
mm | 樹脂系 | 膜厚(μm) | 樹脂系 | 膜厚(μm) | ||||
1 | カラーアルミ | A3005P-H26 | 0.6 | ポリエステル + 防錆顔料 | 5 | 高分子ポリエステル | 15 | 塗布型クロメート |
2 | カラーアルミ | A3005P-H24 | 0.6 | エポキシ + 防錆顔料 | 5 | レギュラーポリエステル | 15 | 塗布型クロメート |
3 | カラーアルミ | A3005P-H24 | 0.6 | エポキシ | 5 | レギュラーポリエステル | 15 | 塗布型クロメート |
4 | カラーアルミ | A3005P-H26 | 0.6 | エポキシ + 防錆顔料 | 5 | ポリふっ化ビニリデン | 20 | 塗布型クロメート |
5 | カラーアルミ | A3005P-H26 | 0.6 | エポキシ | 5 | シリコンポリエステル | 15 | 塗布型クロメート |
6 | カラー鋼板 | SGCC | 0.5 | エポキシ + 防錆顔料 | 5 | ポリふっ化ビニリデン | 20 | リン酸亜鉛 |
3.結果
- 耐食性が最も劣ったのは軒天部で、次いで壁部が劣っていました。屋根部はチョーキングのみが進行しており、腐食は認められませんでした。
軒天部での腐食挙動は高分子ポリエステル(防錆顔料入り)は写真1に示すように曲げ部のクラックは認められず、腐食は発 生していませんでした。しかし、スクラッチ部では腐食が認められることより、クラックなどの疵があれば腐食する可能性があります。
レギュラーポリエステルやシリコンポリエステルでは曲げ部のクラックが認められ、ここからの腐食が発生していますが、防錆顔 料添加効果は顕著であり、腐食は軽微でした。
アルミへのふっ素塗装(ポリふっ化ビニリデン)では曲げ部でのクラックがないため、高分子ポリエステルと同様に良好な耐 食性を示していました。しかし亜鉛めっき鋼板では曲げ部及び平面部でのふくれが発生していました。

表2 複合耐久試験の試験条件
NO | 樹脂系 | 防錆顔料 | 1R部 | 2R部 | スクラッチ部 | 平面部 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 高分子ポリエステル | 有り | ○△ | ◎ | △ | ◎ |
2 | レギュラーポリエステル | 有り | △× | △ | △ | ◎ |
3 | レギュラーポリエステル | 無し | × | △ | △ | ◎ |
4 | ポリふっ化ビニリデン | 有り | ○△ | ◎ | ○△ | ◎ |
5 | シリコンポリエステル | 無し | × | △ | △ | ◎ |
6 | ポリふっ化ビニリデンSGCC | 有り | × | × | × 白錆 | × ふくれ |
これらの結果より、加工性がすぐれる高分子ポリエステルやポリふっ化ビニリデンは曲げ部でのクラックが発生しにくいため、 良好な耐食性が得られているのに対し、レギュラーポリエステルやシリコンポリエステルでは曲げ部にクラックが発生したため、 ふくれ状の腐食となりました。
防錆顔料の効果は3年以下の短期間では顕著ですが、長期に及ぶ試験ではその差は少なくなっています。
今回使用した防錆顔料はクロメート系です。環境対策として現在開発されているノンクロ系の防錆顔料で軒天ばく露試験を 行いましたが、クロメート系より大幅に劣った結果となっています。今後のノンクロ系の開発に期待いたします。