2.板材の区分

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2. 板材の区分

1. 種 類

 アルミニウムの種類は,主として添加する合金元素の種類,組合せにより,大別して7種類に分類される。
 用途によってその特徴を勘案して,品種を選択することが肝要である。その分類を表3に示す。表4には建築材料としてよく使われる品種についてその特性を示す。

表3 アルミニウム及びアルミニウム合金の種類と性質

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合 金 系
主な添加元素と性質
代表的
合 金

主 な 用 途

1000 系
(純アルミ
 ニウム系)

純度99.0%以上のアルミニウムをいい,耐食性,熱や電気伝導性,溶接性,加工性がよい。
1050
1100
1200

壁用役物,カーテンウォールパネル,各種タンク,家庭用品
2000 系
(Al-Cu 系)
Cuを添加した熱処理合金系で,軟鋼に匹敵する強度を有するが,耐食性は,中程度である。この系内にジュラルミン(2017, 2024)がある。
2017
2024
ピストン,プロペラ,強度材,自転車部品
3000 系
(Al-Mn 系)
Mnを添加した非熱処理合金系で,強度は中程度であるが耐食性はよい。成形性,溶接性もよい。
3003
3004
3005

屋根材,壁材,板建材,家庭用品,アルミ缶胴
4000 系
(Al-Si 系)
Siを添加した非熱処理合金系で,溶融点が低い。ブレージング皮材,溶加材として使用される。アルマイト処理をすると灰黒色に発色する。
4042
4043
4343

カーテンウォールパネル,溶加材,ブレージング皮材
5000 系
(Al-Mg 系)
Mgを添加した非熱処理合金系で,強度があり,板金加工性,溶接性がよく,とくに海水に対する耐食性に優れる。
5005
5052
5182
5083

屋根材,板建材,乗用車,鉄道車両 バス,トラック,海上コンテナ,光学部品 船舶,各種タンク,缶ぶた,ブラインド
6000 系
(Al-Mg-Si 系)

Mg,Si を添加した熱処理合金系で,高い強度を有し,しかも押出性のよい合金である。アルミサッシは6063である。
6061
6063
アルミサッシ,形建材,建築構造材,乗用車,車両構造材
7000系
(Al-Zn-Mg系)
Zn,Mgを添加した熱処理合金系で,最高の強度をもつ合金がある。中でもわが国で開発された三元合金(7N01,7003)は溶接性に優れ,溶接部の強度が高い。

7N01
7003
7075
車両構造材,建築構造材,航空機,バット,メタルスキー

表4 建材に使用されるアルミニウム板の標準的性質(JISH4000:2014)

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用 途 材 質 板 厚
(mm)
機 械 的 性 質
引張強さ(N/mm2) 耐 力
(N/mm2)
伸 び,%
最小値
最小 最大
屋    根 0.2 ≦ T ≦ 0.3 120 145 95 1
A1100P-H14 0.3 < T ≦ 0.5 2
H24 (1) 0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 4
    1.3 < T ≦ 2.9 5
A3003P-H26 (1) 0.2 ≦ T ≦ 0.5 165 1
0.5 < T ≦ 0.8 2
0.8 < T ≦ 1.3 3
    1.3 < T ≦ 4 4
A3004P-O 0.2 ≦ T ≦ 0.5 155 195 10
0.5 < T ≦ 0.8 14
0.8 < T ≦ 1.3 60 16
1.3 < T ≦ 3 60 18
H14 0.2 ≦ T ≦ 0.5 225 265 1
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 175 3
1.3 < T ≦ 3 175 4
H32 0.5 ≦ T ≦ 0.8 195 245 3
0.8 < T ≦ 1.3 145 4
    1.3 < T ≦ 3 145 5
A3005P-H24 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 165 1
0.8 < T ≦ 1.6 2
H26 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 195 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2
A5005P-H14 0.5 ≦ T ≦ 0.8 145 185 120 2
0.8 < T ≦ 1.3 2
    1.3 < T ≦ 2.9 3
A5052P-H32 0.2 ≦ T ≦ 0.3 215 265 3
0.3 < T ≦ 0.5 4
0.5 < T ≦ 0.8 5
    0.8 < T ≦ 1.3 155 5
H34 0.2 ≦ T ≦ 0.5 235 285 180 3
0.5 < T ≦ 0.8 4
    0.8 < T ≦ 1.3 4
H38 0.2 ≦ T ≦ 0.8 270 220 3
    0.8 < T ≦ 3 4
スパンドレル A1100P-H14 0.2 ≦ T ≦ 0.3 120 145 95 1
H24 (1) 0.3 < T ≦ 0.5 2
0.5 < T ≦ 0.8 3
    0.8 < T ≦ 1.3 4
A3003P-H26 (1) 0.2 ≦ T ≦ 0.5 165 1
0.5 < T ≦ 0.8 2
0.8 < T ≦ 1.3 3
    1.3 < T ≦ 4 4
A3004P-O 0.2 ≦ T ≦ 0.5 155 195 10
0.5 < T ≦ 0.8 14
0.8 < T ≦ 1.3 60 16
    1.3 < T ≦ 3 60 18
H14 0.2 ≦ T ≦ 0.5 225 265 1
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 175 3
    1.3 < T ≦ 3 175 4
A3005P-H24 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 165 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2
H26 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 195 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2
A3105P-H14 0.2 ≦ T ≦ 0.5 150 200 130 1
0.5 < T ≦ 1.5 2
    1.5 < T ≦ 3 2
サイディング A3003P-H14 0.2 ≦ T ≦ 0.3 140 180 1
0.3 < T ≦ 0.5 115 2
0.5 < T ≦ 0.8 115 3
0.8 < T ≦ 1.3 115 3
    1.3 < T ≦ 2.9 115 5
A3004P-O 0.2 ≦ T ≦ 0.5 155 195 10
0.5 < T ≦ 0.8 14
0.8 < T ≦ 1.3 60 16
    1.3 < T ≦ 3 60 18
H14 0.2 ≦ T ≦ 0.5 225 265 1
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 175 3
    1.3 < T ≦ 3 175 4
H32 0.5 ≦ T ≦ 0.8 195 245 3
0.8 < T ≦ 1.3 145 4
    1.3 < T ≦ 3 145 5
A3005P-H24 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 165 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2
H26 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 195 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2
カーテン
ウォール
A1100P-H14 0.2 ≦ T ≦ 0.3 120 145 95 1
0.3 < T ≦ 0.5 2
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 4
    1.3 < T ≦ 2.9 5
A3003P-O 0.2 ≦ T ≦ 0.3 95 135 18
0.3 < T ≦ 0.8 35 20
    0.8 < T ≦ 1.3 35 22
A3004P-H24 (1) 0.2 ≦ T ≦ 0.5 225 1
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 3
    1.3 < T ≦ 3 4
H32 0.5 ≦ T ≦ 0.8 195 245 3
0.8 < T ≦ 1.3 145 4
    1.3 < T ≦ 3 145 5
役    物 A1100P-H14 0.2 ≦ T ≦ 0.3 120 145 95 1
0.3 < T ≦ 0.5 2
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 4
    1.3 < T ≦ 2.9 5
A3004P-O 0.2 ≦ T ≦ 0.5 155 195 10
0.5 < T ≦ 0.8 14
0.8 < T ≦ 1.3 60 16
    1.3 < T ≦ 3 60 18
H14 0.2 ≦ T ≦ 0.5 225 265 1
0.5 < T ≦ 0.8 3
0.8 < T ≦ 1.3 175 3
    1.3 < T ≦ 3 175 4
H32 0.5 ≦ T ≦ 0.8 195 245 3
0.8 < T ≦ 1.3 145 4
    1.3 < T ≦ 3 145 5
A3005P-H24 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 165 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2
H26 (1) 0.3 ≦ T ≦ 0.8 195 1
    0.8 < T ≦ 1.6 2

注(1)質別 H22, H24,H26,H28については、引っ張り強さの上限及び耐力は適用しない。

2. アルミニウム合金記号の読み方

 JIS規格では,個々のアルミ合金に記号をつけている。これは,合金の種類,材料形状,質別がひとめでわかるようにしたものである。

2.板材の区分

【耐力】
 図1はアルミニウム(A5052P-H34)の応力-ひずみ線図を示したものである。
 アルミニウムの引張諸特性の定義は鉄鋼材料の場合と全く同じであるが,鉄鋼材料と違いはっきりとした降伏点を持たない。そこで図1に示すように0.2%の永久ひずみを生じる点の応力を耐力と定め降伏点として扱うわけである。

2.板材の区分

図1 アルミニウム応力一ひずみ線図

3. 質 別

 建材に使われているアルミニウム板に用いる質別記号は表5の通りである。
 同じ合金でH14とH24では引張強さはほぼ同じであるが,H24は耐力がやや低く,伸びが大きく,成形性は一般的にH24が優れている。H3n は3000系,5000系合金に適用される。これらの合金はH1n の状態で長時間放置すると耐力がわずかに低下し,伸びが増加する。このような経時変化を防止するために,冷間加工後130~170℃で加熱を行なう処理をすることがあり,これを安定化処理という。この処理を施した材料の質別をH3nで表わす。

表5 建材用アルミニウム板に用いる質別記号

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記 号
定 義
説 明
O
焼なましにより最も軟らか
い状態となったもの
焼なましにより完全に再結晶した状態を示す。熱処理合金の場合は,焼なまし温度より緩やかな冷却を行い,焼入れの効果を完全に防止することが必要である。
H

H1n 冷間加工を行い加工硬化したもの nは1~9の数字で示され,加工硬化の程度を示す。すなわち8は冷間加工率75%で硬質材,4はOと硬質材の中間(1/2硬質)の引張強さであることを示す。2,6はそれぞれOと1/2硬質と硬質の中間の引張強さであることを示す。なお,9は冷間加工率75%以上で超硬質材である。
H2n 加工硬化させたものに適度に軟化処理したもの
H3n 冷間加工を行いさらに安定化処理したもの